(2020.11.23 アメブロ 公開した記事をこちらにお引越し)
長男タロウが幼稚園年中の冬(2013年12月)、お遊戯会がありました。
会場の真ん中で繰り広げられる劇。保護者は会場の壁際にぐるりと輪になって設置された椅子に座りました。
保護者の輪の内側に、演じる子どもたちの椅子が輪になって並べてあります。
劇の進行中、出番を待つ子どもたちは劇を見ながら椅子に座って待機していました。
年中児のタロウは「お星さま」の役でした。
いざ、出番になったとき、タロウだけ椅子に座ったまま微動だにせず。
「え? やらないの?」
他の子は手を上にあげて、手のひらをクルクル回して立派にお星さま役を演じているのに、タロウったらなんでひとりだけふんぞり返って座ってんのかしら(怒)!
と、私は思っていました。
それと同時に、
自分の子だけやらない恥ずかしさ。
自分の子だけちゃんとしてない。
みっともない。
私自身が他の保護者に「ちゃんと子育てができてない」と見られているような気持ち。
そんな気持ちをこらえながら、タロウを凝視していました。
後日談ですが、そのとき、会場に入っていたプロのカメラマンさんが撮った写真に私が写り込んでいました。
タロウを凝視する私は世にも恐ろしい顔をしていて、まるで般若のお面のようで我ながらギョッとしました。
イメージ画像ですが限りなく近いです
当時の話に戻りますが、そのとき、私たち親子は療育に通い始めたばかりでした。
怒ってばかりの自分の子育てを見直そう。
家族揃って笑顔で食事ができるようになりたい。
そんな取り組みを始めていた時期でもありました。
お遊戯会の帰り道、怒る気持ちをぐっと抑え、タロウと一緒に私は無言のまま歩いていました。
怒らなかったけれども、怒りたい気持ちがダダ漏れていたと思います。
タロウは帰り道、とても大人しかったです。ママに怒られると思ってきっと委縮していたのだろうと思います。
コンビニに寄ってタロウが好きなアイスを買ってあげました。
(アイスを食べながら、タロウに怒らず話そう)
そう自分に言い聞かせながら、感情を落ち着かせ、家に帰ってからタロウに話しかけました。
「ママ、タロウのお星さまの役が見たかったな」
「……ママ、怒るかと思った」
「怒らないよ、ただちょっと残念に思っただけだよ。やりたくなかったんだね?」
「だって前に出るのが恥ずかしかったから」
「そうだったのね」
「年長さんになったらちゃんとやるよ」
「そのときはパパも見に来てくれると思うよ。楽しみにしているね!」
そう言いながら、私はワーッと泣いてしまいました。
怒らずに話せたよ、私。
タロウも素直に自分の気持ちを言えたよ。
タロウも私につられるように、声を上げて泣き始めました。2人で抱き合ってワンワン泣きました。悲しくて泣いているのではなく、お互いにうっすら笑っていました。
タロウと私の関係が、一歩前に進んだ瞬間で、いまも心に残る出来事です。